サージカルステンレスとは?本当に金属アレルギーでも大丈夫なの?

こんにちは。金属アレルギー対応のアクセサリーショップのBartlett(バートレット)です。
今回は私たちが主に取り扱っているサージカルステンレスについてお話ししたいと思っています。

どうしてサージカルステンレスが金属アレルギーでも大丈夫なのか。そもそもサージカルステンレスって何なのかを一から丁寧に解説できればと思っています。少しの間、お付き合いください。

この記事を書いた人
Mitsuki

金属アレルギー対応のアクセサリーショップ『Bartlett Store|バートレット ストア』の中の人です。金属アレルギーの悩んでいる人のために、自身の知識が役に立てばと持っています。

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サージカルステンレスとは

「サージカルステンレス」とは、もとは医療器具に使われていた最高級の素材で、316Lステンレスのことを指します。「surgical stainless」と表記し、surgicalは医療用のという意味になります。つまり、医療用のステンレスなのです。特徴としては錆びにくく、頑丈で、金属アレルギーが起こりにくい素材として人気を集めている素材です。

言葉の由来通り、医療用に開発されたサージカルステンレスですが、近年はピアスやネックレスなどのアクセサリーとして用いられる機会も多くなり、金属アレルギーの人でもアレルギーを起こしにく素材として注目を集めています。

SUS316とSUS316L

サージカルステンレスとは通称で正式にはSUS316と呼ばれます。JIS規格です。このほかにもSUS316LやSUS316LVM、SUS431やSUS440など、上げればきりがありません。そのどれもがサージカルステンレスと呼ばれる括りになります。

このJIS規格の中でもっとも錆びにくく、金属イオンが溶け出しにくいのがSUS316Lと呼ばれるサージカルステンレスです。サージカルステンレスの中でも腐食しにくく、アレルギーが起こりにくいと言われています。主に海水などの塩化物に触れる過酷な環境で使用されています。

サージカルステンレスは主にクロム、ニッケル、モリブデン、鉄などの金属でできています。金属アレルギーが発症しやすい金属ばかりです。では、どうして金属アレルギーが発症しないのか。それはSUS316Lの炭素量が関係しています。

炭素とクロムが熱処理や溶接等により結合して金属組織の変化が起こるとクロム炭化物が現れます。 それによりクロムが不足する部分が生じてしまい、その箇所から腐食が進んでいきます。炭素量が少なければ、その分クロムとの結合も減り、耐食性が向上します。316LのLはローカーボンのLです。

モリブデンという超高温でも溶けにくい金属を加え、酸化膜を生成し耐食性を上げているのも大きな要因です。逆に言うと、SUS304などにはこのモリブデンが少ないため、耐食性が316よりも劣ってしまいます。選ぶのであれば316もしくは316Lにしましょう。

サージカルステンレスの特徴

錆びにくくて、汗をかく暑い季節でも安心

金属の中には、シルバーや真鍮素材のように、空気に触れたり汗をかいたりすると錆びたり酸化したりするものもあります。酸化して錆びてしまったアクセサリーをそのまま着用し続けていると、アレルギー反応が出たり、肌に影響が出たりしてしまいます。

サージカルステンレスの一番の特徴として「錆びにくい」という特徴があるので、その点で汗をかきやすい暑い季節やマリンスポーツをする機会の多い夏には特におすすめの素材です。

お手入れなしでも美しいまま

もうひとつ、サージカルステンレスの特徴として「熱や腐食にも強く耐久性も高い」という性質があります。アクセサリーを購入する際にはお手入れ方法も気になりがちですが、サージカルステンレスは表面に傷がつきにくいという点から特別なお手入れをしなくても新品に近い状態を保つことができます。

アクセサリーの長時間の着用から知らない間に傷がついてしまうこともありますが、そういったことを気にせず気に入ったアクセサリーをたくさん楽しめるのもサージカルステンレスの魅力です。

サージカルステンレスはステンレスとは違うのか

サージカルステンレスとステンレスは違うのでしょうか。どちらもステンレスという名前が付いてますが、その違いを確認しましょう。

そもそもステンレスとは

stainless steelとはその英字の通り「錆びない」と言う意味です。厳密には「さびにくい」という意味も含まれます。それぞれの意味はstain=汚れ、さび less=ない steel=鉄となります。

つまり、直訳してしまうと「錆びない鉄、錆びにくい鉄」というようになります。ステンレスは鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含んでおり、錆びにくい合金で、他の材料に比較すると使用量が急激に伸び、その生産量をみると現在国民一人当たり熱間圧延材ベースで30kg程度使用されています。

これは、ステンレスの使用量の増加はステンレス素材のすばらしさによる用途が拡大していることと、製造技術・加工技術の向上によるものでしょう。では、ステンレスの特長を見ていきましょう。

ステンレスの特長

鉄にクロムを添加していくと、段々と錆びにくくなっていきます。10.5%以上のクロムを添加し非常に錆びにくくなったものをステンレス鋼といいます。ステンレス鋼は耐食性以外にも 耐熱性・加工性・強度など優れた特性を備えています。

意匠性にも優れ、メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。環境に対する社会の関心が高まるなか、100%リサイクル可能な材料として高く評価され、大変注目されています。

サージカルステンレスはステンレスの強化版

サージカルステンレスは医療用に開発されたという経緯もあり、耐食性はカトラリーなどに使用されている一般的なステンレスよりも高く、金属アレルギーを引き起こしにくいとされています。

SUS316とSUS316Lはクロムとニッケルの他にモリブデンを合金し、より耐食性を高めており、そのぶん通常のステンレスより価格が上がる傾向にあります。

サージカルステンレスの疑問

サージカルステンレスのアクセサリーをつけたままお風呂に入れる?

錆びにくく熱に強いというサージカルステンレスの性質から、着用したまま入浴したとしても問題はありませんが、温泉や入浴剤を用いたお湯に入る際など成分によっては錆びてしまうことがあります。アクセサリーに入り込んだ石鹸かすによる汚れの心配や、思わぬ紛失の原因にもなるので、ほかのアクセサリー同様、外してから入浴することをおすすめします。

サージカルステンレスの色は何色?

サージカルステンレスの色は、暗めのシルバー色です。メッキが施されているアクセサリーは、光沢がありキラキラしていますが、このキラキラにアレルギーの最大の原因とされる「ニッケル」が添加されているためアレルギー症状が出ることがあります。暗めのシルバーは、ステンレスそのものの色なので安心して着用できる証です。

ゴールドのサージカルステンレスのアクセサリーは、サージカルステンレスの素地の上にゴールドのニッケルフリーのメッキで色をコーティングしてあることが多く、ニッケルフリーのアクセサリーを選ぶのがおすすめです。

「ニッケル」は、金属アレルギーの原因に多いとされている金属の素材。ニッケルによって起きるアレルギーを防ぐことを目的に、こういったゴールドコーティングを施す際には、ニッケルをほどんど含まない「ニッケルフリー」にすることが多いようです。

ただし、金属アレルギーの原因がニッケルに限らない場合、ニッケルフリーのゴールドコーティングのアクセサリーを着用した際にアレルギー反応が起きる可能性があります。

サージカルステンレスは安い?

金属アレルギーが起きにくい素材として、これまで一番有名だったのはプラチナでした。確かにプラチナに比べるとサージカルステンレスは安価で手に取りやすい素材です。この理由は、サージカルステンレスが貴金属とは異なり人工的に作られた合金だから。

人工的な合金の中には、安価でアレルギー症状の原因でもある金属イオンを発生しやすいものが多いのですが、サージカルステンレスは医療用の最高級合金のため、その心配が少ない素材となっています。

サージカルステンレスの安全性はどの程度?

サージカルステンレス(SUS316L鋼材)の金属アレルギーのなりやすさの目安は、個人差もありますが、真鍮やクロムメッキ、金メッキ、などの安価なアクセサリー材料よりは、ずっと安全。

シルバー925やピンクゴールドなど、銅を多く含む貴金属材料よりも安全。一般的なステンレスよりも安全。18金ゴールドやプラチナ900などの一般的な貴金属類とほぼ同等。

22金ゴールドや、パラジウムフリーのプラチナなど、金属アレルギーに配慮した貴金属よりはやや劣る。チタンや、その他タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブなどのバルブメタル類よりは劣る。

大まかに、このような位置付けです。貴金属の10分の1以下の価格で貴金属に近い金属アレルギー対応ができるので、コストパフォーマンスは素晴らしい素材だと言えます。

サージカルステンレスの注意点

サージカルステンレスは明確に定義されておらず、基準も曖昧です。この記事で紹介した通り、金属アレルギーに耐性があるのはSUS316・SUS316Lという規格のサージカルステンレスになります。

アレルギーの原因はさまざまです。

サージカルステンレス(316L)はアレルギーが起きにくい素材ではありますが、すべての方にアレルギーが起きないことをお約束するものではありません。万が一お肌にトラブルが発生した場合は、直ちに使用を控えていただくようお願い致します。

錆に強く、変色しづらい特徴がございますが、永久に製品状態を保証をするものではございません。使用状況・方法などによって劣化は異なりますので、ご了承ください。

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